日本戦略研究フォーラム(JFSS)は、2024年7月12日から15日にかけて、第4回となる年次軍事演習「台湾海峡危機政策シミュレーション」を開催しました。台湾は、2023年に行われた第3回から本演習に参加しており、今年はさらに参加拡大しました。退役将官、防衛戦略の専門家、そして遠景基金会(Prospect Foundation)の代表らが「台湾総統」の役割を担って参加しました。
本演習の共催者として、福和会(Formosa Republican Association, FRA)は立法委員の陳冠廷氏と郭国文氏を招待し、林逸民博士(福和会理事長)が団長として代表団を率いました。同行したメンバーには、理事長夫妻、事務局長、台湾晋昇太空(Taiwan Innovative Space)会長である常務理事の陳彥升氏、理事の黄国欽医師、顧問の李明峻博士らも出席しました。
今回の軍事演習は、グローバルな戦略状況や各国の政策・ゲーム理論的なアプローチをもとに、広範な分析と戦略モデルを構築し、それを土台とした仮想シナリオが用意されました。シナリオにおいて、2024年の米国大統領選挙の最中に北海道で大地震が発生し、それに乗じて中国が攻撃を仕掛けるという設定でした。演習は、非常に緊張感のある展開となり、福和会の参加者にとっても有益な知見を得る機会となりました。
台湾側からは、遠景基金会賴怡忠執行長が「台湾総統」役として、国防安全研究院の戦略顧問・李喜明氏が台湾側の主導役として、また台湾日本研究院(Taiwan Japan Academy)の林彥宏事務局長が参加しました。
さらに、台湾からのオブザーバーとして、国防安全研究院(Institute for National Defense and Security Research, INDSR)の霍守業理事長、李廷盛副執行長、国防大学の張捷副校長、中共軍事事務研究所の荊元宙所長、そして2名の立法委員が参加しました。
また、軍事演習の参加のほか、福和会代表団は、笹川平和財団を訪問し、許世楷元台湾駐日大使と面会をしました。軍事演習前には、明治記念館にて、台日双方の参加者による懇親会が開催されました。出席者には、演習内で日本の内閣総理大臣役を務めた元防衛大臣・小野寺五典議員、日本戦略研究フォーラム事務局長の長野禮子氏、日本台湾同郷会会長の岡山文章医師夫妻など、在日台湾人医師も多く参加しました。
今回の演習には、米国の元高官の2名が参加し、米国大統領及び国家安全保障顧問の役を務めました。米国大使館からは、複数のオブザーバーが派遣され、さらに英国、チェコ、エストニア、リトアニア、フィンランド、オーストラリアなどの在日大使館からもオブザーバーを派遣しました。
この軍事演習の主たる目的は、「台湾有事」発生時における日本政府の意思決定能力と既存の体制の対応力を検証することにあります。台湾と米国の参加者は、様々なシナリオにおける中国の行動に対する台米の対応をシミュレーションすることで、日本側の理解を深め、政策判断の精度を高める支援を行いました。
米国及び日本では、政府、軍、民間シンクタンクを問わず、中国の脅威に対する警戒感が高まっています。中国が、全面侵攻を行う可能性は低いものの、貿易の妨害や商船への攻撃といった灰色地帯(グレーゾーン)戦術を用いて台湾を牽制することは十分に想定されます。そのため、米日両国は、こうした行動を抑止する明確な立場を打ち出す必要性を強調しています。
米海兵隊退役中将のローレンス・D・ニコルソン氏は、台湾海峡が国際的な重要航路であり、日本にとっても生命線であることを強調しました。米国、日本、同盟国、そして世界の文明国家は、中国が台湾海峡の自由を侵害し、独占的支配を試みることを決して許容しないと述べました。また、台湾人に対して「両岸(中台)」という表現を用いないよう呼びかけ、台湾海峡の開放性と国際性こそが台湾の安全と繁栄の鍵であると訴えました。
福和会は、この度の重大な国際的演習を共催できたことを大変光栄に思っており、今後は、「台湾海峡危機政策シミュレーション」軍事演習が台湾と日本で交互に開催されるよう提案をし、地域の備え、かつ、同盟強化に貢献したいと考えています。









































